Azure Filesのパターン別作成方法(概要、ストレージアカウント、ファイル共有、クォータ)
各課金形態やパフォーマンス別のAzure Files(ファイル共有)の作成手順です。
ストレージアカウントの作成、ファイル共有の作成の手順、クォータ設定をパターン別に紹介しています。
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- 従量課金のStandard(汎用V2)
- Standardのプロビジョニング済み v2
- Premiumのプロビジョニング済み v1
※本記事内ではAzure Virtual Machines(Azure VM)を仮想マシンとして記載しています。
Azure Filesの概要
Azure Filesとは
Azure Files は、Azure 上で提供されるフルマネージドのファイル共有サービスです。
ストレージアカウントにファイル共有を作成して利用します。
SMB、NFS、および Azure Files REST APIがサポートされます。
NFSはPremiumのみでサポートされます。
SMB は、Windows、Linux、macOS クライアントから使用できます。
NFS は、Linux と macOS クライアントから使用できます。
クラウド上の仮想マシンやオンプレミスのサーバーからもマウントして利用できます。
Standard 汎用 v2、Premiumファイル共有のストレージアカウントから利用できます。
従量課金のStandard 汎用 v2の場合、同じストレージアカウント内でBlobコンテナーなども共存して利用できます。
一方でプロビジョニング済みの課金モデルを選択した場合は、FileStorageとしてストレージアカウントが作成されます。
パフォーマンスでStandardかPremiumのどちらを選択しても、FileStorageとしてストレージアカウントが作成されます。
そのためBLOBコンテナーなどは同じストレージアカウント内で作成できません。
※プライマリ サービスでAzure Filesを選択した場合です。
Azure Filesの課金体系
プロビジョニング済み課金モデルと、従量課金の課金モデルが存在します。
Premiumファイル共有は、プロビジョニング済み v1になります。
Standardのファイル共有の場合は、従量課金とプロビジョニング済み v2から選択します。
ただし、記事記載時点では東日本リージョンでプロビジョニング済み v2はサポート対象外でした。
プロビジョニング済みの場合は、実際の利用量に関わらずデプロイしたストレージサイズに応じて課金が発生します。
またプロビジョニング済み v2の場合は、プロビジョニング済みのIOPSやスループットに対しても課金が発生します。
トランザクションレベルの概要と課金(従量課金を利用している場合)
Standardで従量課金を利用している場合は、トランザクションレベルを選択できます。
トランザクションレベルとして、3つのアクセス層が提供されています。
アクセス層は利用用途に応じて選択します。
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- トランザクション最適化:アプリケーションのアクセスなど負荷は高いけど、Premiumファイル共有まで必要ない場合
- ホット:そこそこアクセスするけど、同時アクセス数などが少ない、チームでのファイル共有などの場合
- クール:普段アクセスしないアーカイブやバックアップのファイル保管場所
アクセス層に応じて課金額が変わります。利用用途に応じて選択します。
保存データに対する課金が高い順に並べるとトランザクション最適化、ホット、クールの順になります。
従量課金の場合には、トランザクション量に応じても課金が発生します。
トランザクションに対する課金が高い順に並べると、クール、ホット、トランザクション最適化の順になります。
アクセス頻度が高い利用用途の場合には、課金額に注意が必要です。
トランザクションレベル | |
ファイル共有単位でアクセス層をを選択できます。 Standardの場合は3つから選択します。 |
Azure Filesのストレージアカウント作成手順(パターン別)
ストレージアカウントの設定値
StorageV2 (汎用 v2)の場合の、ストレージアカウントの主な設定内容です。
Standard プロビジョニングされた v2の場合は、サポートするリージョン(eastasia)を選択しています。
Premiumの場合は、パフォーマンスでPremiumを選択しています。
手順確認用の構成なので、冗長化はせずに、論理的削除も無効化しています。
仮想マシンからストレージアカウントへのアクセスは、サービスエンドポイント経由としています。
- 基本
区分 | 項目 | 設定値 |
インスタンスの詳細 | ストレージ アカウント名 | sttestxxxxxxxxxxx |
場所 | Japan East | |
プライマリ サービス | Azure Files | |
パフォーマンス | Standard | |
冗長性 | LRS(ローカル冗長ストレージ) |
- ネットワーク
区分 | 項目 | 設定値 |
ネットワーク接続 | ネットワーク アクセス | 選択した仮想ネットワークとIPアドレスからのパブリックアクセスを有効にする |
仮想ネットワーク | 仮想ネットワーク | test-vnet-01 |
サブネット | vm-subnet-01 (仮想マシンのサブネット) |
※サービスエンドポイント経由で、仮想マシンからファイル共有へアクセスします。
- データ保護
区分 | 項目 | 設定値 |
復旧 | BLOB の論理的な削除を有効にする | 無効(チェックを外す) |
コンテナーの論理的な削除を有効にする | 無効(チェックを外す) | |
ファイル共有の論理的な削除を有効にする | 無効(チェックを外す) |
※手順確認用の設定です。利用用途に合わせて設定します。
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)の場合
公式サイトの手順を参考に、ストレージアカウントを作成します。
Standard プロビジョニングされた v2の場合
ファイル共有の請求方法をプロビジョニングされた v2にした場合のストレージアカウント作成手順です。
StorageV2 (汎用 v2)場合と同様の手順で設定できます。
“ファイル共有の請求"の選択肢は、プロビジョニングされたv2をサポートするリージョンを選択した場合のみ表示されます。
今回は"eastasia"を選択しています。
記事記載時点では、日本のリージョンではサポートされていません。
ストレージアカウントの作成手順 | |
プライマリサービスはAzure Filesを選択します、 パフォーマンスはStandardを選択します。 ファイル共有の請求の選択肢が表示されます。 “プロビジョニングされた v2″を選択します。 BLOBコンテナーのNFSサポートなど、選択できない設定項目もあります。
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作成したストレージアカウントの表示例です。 |
※設定タブは、StorageV2 (汎用 v2)場合と同様になります。
Premium プロビジョニングされた v1の場合
パフォーマンスにPremiumを選択した場合の、ストレージアカウント作成手順です。
StorageV2 (汎用 v2)場合と同様の手順で設定できます。
ストレージアカウントの作成手順 | |
プライマリサービスはAzure Filesを選択します、 BLOBコンテナーのNFSサポートなど、選択できない設定項目もあります。 |
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作成したストレージアカウントの表示例です。 |
※設定タブは、StorageV2 (汎用 v2)場合と同様になります。
パターン別のストレージアカウントの概要表示内容
Standard(従量課金、プロビジョニングされた v2)、Premium(プロビジョニングされた v1)で、ストレージアカウントの概要表示を比較します。
同じStandardを選択した場合でも、ファイル共有の請求方法の表示内容が異なります。
各パターンでのストレージアカウント表示内容 | |
データストレージにはコンテナー、ファイル共有、キュー、テーブルが表示されます。 パフォーマンスにはStandardと表示されます アカウントの種類にはStorageV2 (汎用 v2)と表示されます。 |
【Standard(従量課金)】 |
データストレージにはファイル共有のみが表示されます。 パフォーマンスにはStandardと表示されます ファイル共有の請求は、プロビジョニングされたv2と表示されます。 アカウントの種類にはFileStorageと表示されます。 |
【Standard(プロビジョニングされた v2)】 |
データストレージにはファイル共有のみが表示されます。 パフォーマンスにはPremiumと表示されます。 アカウントの種類にはFileStorageと表示されます。 |
【Premium(プロビジョニングされた v1)】 |
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ストレージアカウントでのファイル共有作成手順(パターン別)
ファイル共有の設定値
ストレージアカウントで作成するファイル共有の設定内容です。
今回はバックアップを無効化しています。
- StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)
区分 | 項目 | 設定値 |
基本 | 名前 | file-share |
レベル | ホット | |
クォータ | 1GiB | |
バックアップ | バックアップの有効化 | 無効(チェックを外す) |
- Standard(プロビジョニングされた v2)
区分 | 項目 | 設定値 |
基本 | 名前 | file-share |
プロビジョニングされたストレージ | 32GiB | |
プロビジョニングされた IOPS とスループット | IOPS とスループットを手動で設定する | |
IOPS | 500 | |
スループット (MiB/秒) | 60 | |
バックアップ | バックアップの有効化 | 無効(チェックを外す) |
- Premium(プロビジョニングされた v1)
区分 | 項目 | 設定値 |
基本 | 名前 | file-share |
プロビジョニングされたストレージ | 100GiB | |
プロトコル | SMB | |
バックアップ | バックアップの有効化 | 無効(チェックを外す) |
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)の場合
ストレージアカウントでファイル共有を作成します。
Standard プロビジョニングされた v2の場合
ストレージアカウントでファイル共有を作成します。
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)と同様の手順ですが、設定内容が異なります。
ファイル共有のサイズ、IOPS、スループットも指定できます。
Premium プロビジョニングされた v1の場合
ストレージアカウントでファイル共有を作成します。
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)と同様の手順ですが、設定内容が異なります。
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ファイル共有のクォータ、IOPS、スループット設定手順(パターン別)
クォータはファイル共有の上限です。
プロビジョニングされた課金モデルの場合は、クォータに設定した容量に対して課金が発生します。
またStandard プロビジョニングされた v2の場合は、IOPSやスループットも指定てきます。
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)の場合
クォータはファイル共有の上限です。
StorageV2 (汎用 v2)(Standard 従量課金)の最低容量は1GiBです。
Standardの従量課金場合は、実際の使用量に対して課金が発生します。
個別にIOPSやスループットを変更はできません。
クォータ設定手順 | |
クォータの編集を選択します。 | |
クォータを1としOKを選択します。 | |
クォータが1GiBに変更されました。 |
Standard プロビジョニングされた v2の場合
Standard プロビジョニングされた v2の最低容量は32GiBです。
プロビジョニングされたストレージサイズ、IOPS、スループットに対して課金が発生します。
ファイル共有個別にIOPSやスループットを設定する事ができます。
クォータ、IOPS、スループット設定手順 | |
ファイル共有でクォータの編集ができます。 最低のサイズは32GiBです。 |
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ファイル共有を選択します。 サイズとパフォーマンスの変更を選択します。 クォータ(プロビジョニングされたストレージサイズ)、IOPS、スループットが変更できます。 |
Premium プロビジョニングされた v1の場合
Premium プロビジョニングされた v1の最低容量は100GiBです。
プロビジョニングされたストレージサイズに対して課金が発生します。
個別にIOPSやスループットを変更はできません。
プロビジョニングされたストレージサイズに応じて自動的に設定されます。
サイズとパフォーマンス設定手順 | |
ファイル共有でサイズとパフォーマンスの変更を選択します。 プロビジョニングされたストレージサイズを変更できます。 最低のサイズは100GiBです。 |
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最後に
Azure Files(ファイル共有)の作成手順についてまとめてみました。
ストレージアカウントの作成、ファイル共有の作成、クォータ設定までをパターン別に確認しています。
同じAzure Files(ファイル共有)でも設定方法や課金形態が異なるので注意が必要かと思いました。
引き続き色々試してみたいと思います。
Azure Files(ファイル共有)のSMB共有を、Windows Serverの仮想マシンからマウントする方法を紹介しています。
Azure Filesのバックアップリストアに関してはこちらで紹介しています。
Azure Files(ファイル共有)のNFS共有を、Linuxの仮想マシンからマウントする方法を紹介しています。