Azure Database for PostgreSQL フレキシブルサーバーの概要、リソース作成手順

2023-01-28Azure,Database for PostgreSQL

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要や、サーバーのリソース作成手順の紹介です。
リソース作成手順では、コンピューティングのサイズやストレージなどのサーバー構成、ネットワークの設定項目、メンテナンス時間の設定、データベース作成手順などを確認しています。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーについては、こちらで紹介しています。

※本記事内では、Azure Database for PostgreSQL Flexible ServerをAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーとして表記しています。

スポンサーリンク

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要

Azure Database for PostgreSQLとは

Azure Database for PostgreSQL とは

Azure Database for PostgreSQLは、PaaS(Platform as a Service)として提供されるリレーショナルデータベースサービスです。
バックアップやパッチ適用といった運用作業も、プラットフォーム側のサービスとして提供されます。

Azure Database for PostgreSQLには複数のデプロイモードがある

Azure Database for PostgreSQLには、フレキシブル サーバーと単一サーバーのデプロイモードがあります。
その他に、Azure Cosmos DB for PostgreSQLがあります。

比較表 – Azure Database for PostgreSQL の単一サーバーとフレキシブル サーバー

フレキシブル サーバーと単一サーバーは基本的には同様の機能が提供されますが、現在は、単一サーバーではなく、フレキシブル サーバーの利用が推奨されています。

フレキシブルサーバーでは、ゾーン冗長 HAのサポートやメンテナンス時間の指定ができるなど、単一サーバーとは異なる点もあります。
フレキシブル サーバーではストレージサイズが最大64TBまでサポートされます。
PostgreSQL の水平シャーディングを可能にした、エラスティッククラスターも利用できるようになっています。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのエラスティック クラスター

※本記事では、Azure Cosmos DB for PostgreSQLには触れません。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーとは

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーは、データベース管理機能や運用管理機能がセットになったフル マネージド データベース サービスです。
データベースや管理機能、パッチ適用やバックアップなど運用管理機能がサービスとして提供されます。
イメージ的には、仮想マシンにPostgreSQLがセットアップされており、バックアップ、冗長化、パッチ適用といった運用までがセットで提供されているサービスという感じかなと思います。

ゾーン冗長、Geo冗長のバックアップ、レプリケーションと言った高可用性な構成が可能です。

概要 – Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバー

コンピューティングサイズも、柔軟に選択、変更することができます。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのコンピューティング オプション

ストレージのサイズも、柔軟に選択、変更することができます。
ストレージのマネージド ディスクは、Premium SSDとPremium SSD v2から選択できます。
ストレージのIOPSも選択できます。マネージド ディスクの種類やサイズにより変わります。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのストレージ オプション

PostgreSQL 11、12、13、14、15、16および17のコミュニティバージョンがサポートされています。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーでサポートされるバージョンの PostgreSQL

PostgreSQL の水平シャーディングを可能にした、エラスティッククラスターもできるようになっています。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのエラスティック クラスター

コンピューティングとストレージに対して課金が発生する

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーは、コンピューティングやストレージに対する課金が発生します。
利用しているコンピューティングのサイズや、ストレージのサイズに応じて課金額が決まります。
ストレージはサイズだけではなく、選択したIOPSにより課金が変わります。
その他に、バックアップストレージに対する課金も発生します。

Azure Database for PostgreSQL の価格

サーバーを停止するとコンピューティングの課金は止まる

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーは停止することにより、コンピューティング層の課金を止めることができます。

サーバーを停止/開始して TCO を削減する

なお、ストレージに対する課金は引き続き発生するため、完全に課金が停止するわけではないことに注意が必要です。

Azure Database For PostgreSQL フレキシブル サーバーの起動停止時に利用するコマンドについては、こちらで紹介しています。

※停止後7日間経過したら、自動的にサーバーが起動します。

リソース作成後に、サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長は変更できない

リソース作成後に変更できない設定内容があります。
サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長については、変更できません。
HA(高可用性)については、有効化と無効化を行うことができます。

リソース作成時のメッセージ
リソース作成時に注意メッセージが表示されます。 サーバー作成後に変更できない項目(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

—広告—

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのリソース作成手順から設定確認

公式サイトの手順を参考に、リソースを作成します。

クイック スタート:Azure portal 内で Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーを作成する

各設定項目の詳細については、公式サイトを参照ください。

作成したリソースの設定値

今回作成したAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの主な設定内容です。
手順確認用ですので、高可用性は無効にするなど、必要最低限の設定としています。

  • 基本設定
区分 項目 設定値
サーバーの詳細 サーバー名 pgsql-01
場所 Japan East
PostgreSQLバージョン 16
コンピューティング クラスターの選択肢 サーバー
Compute tier 汎用 (2 から 64 個の仮想コア) 
コンピューティング サイズ Standard_D2ds_v4
ストレージ ストレージの種類 Premium SSD
ストレージ サイズ 32GiB
パフォーマンスレベル P4 (120 iops)
ストレージの自動拡張 チェック無
高可用性 高可用性 無効
バックアップ バックアップ保有期間 7日間
バックアップ冗長オプション
(Geo 冗長性)
チェック無
認証 認証方法 PostgreSQL の認証のみ
  • ネットワーク設定
区分 項目 設定値
ネットワーク接続 接続方法 プライベート アクセス (VNET 統合)
仮想ネットワーク 接続する仮想ネットワークを選択
サブネット 接続するサブネットを選択
プライベート DNS 統合 プライベート DNS ゾーン デフォルトを選択
  • セキュリティ設定
区分 項目 設定値
セキュリティ データ暗号化キー サービス マネージド キー

リソース作成時の画面

リソース作成は、5つのタブから構成されます。

    • 基本 : サーバー名、PostgreSQLのバージョン、データベースアカウントなどの設定
      • サーバーの構成 : コンピューティングやストレージのサイズ、可用性、バックアップなどの設定
    • ネットワーク : 接続方法やネットワークのアクセス許可設定
    • セキュリティ : データベースとバックアップに使用されるストレージの暗号化設定
    • タグ : リソースに付与するタグの設定
    • 確認および作成 : 作成前の確認画面

基本設定、サーバーの構成設定

サーバー名、リソースのサイズ、可用性設定など、Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバー自体の設定を行います。

基本設定、サーバーの構成設定
Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーで作成を選択します。 サーバーを作成(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

サーバーの基本設定画面です。
サーバー名を入力し、リージョンを選択します。
PostgreSQLバージョンを選択します。
サーバの構成を選択します。

サーバー名やPostgreSQLのバージョンを設定(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
PostgreSQLバージョンの選択肢(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

サーバーの構成を選択すると、コンピューティングとストレージの設定画面が表示されます。
クラスターの選択肢はサーバーを選択します。
Compute tierやコンピューティングサイズを選択します。

※リージョンにより、プロセッサーの選択肢が表示される場合があります。

クラスターやコンピューティングを設定(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
コンピューティングサイズの選択肢(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

クラスターの選択肢で、エラスティック クラスター場合の画面例です。
Node Countなどが表示されます。
バースト可能なコンピューティングレベルでは利用できない旨のメッセージが表示されます。

クラスターでエラスティッククラスターを選択した場合の画面例(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

ストレージと高可用性の設定です。
ストレージの種類、ストレージサイズ、パフォーマンスレベルを選択します。
ストレージの自動拡張も設定します。
高可用性を選択します。

※選択できる高可用性は、リージョンにより異なります。

ストレージや高可用性を設定(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

ストレージの種類でPremium SSD v2を選択した場合です。
この場合は、ストレージサイズ、IOPSを任意で設定できます。
スループットも選択できます。

※記事記載時点では、高可用性などに制限があります。

ストレージの種類でPremium SSD v2を選択した場合の画面例(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
バックアップ設定です。
バックアップの保有期間やGeo 冗長性を選択します。
保存を選択します。
バックアップの設定(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
基本設定画面に戻ります。
認証方法を選択します。
ユーザー名とパスワードによる認証、Entra IDでの認証から選択します。
Entra IDでの認証を選択すると、管理者の選択肢が表示されます。
認証方法の選択と設定(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
認証方法でEntra IDを選択した場合の画面例(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

ネットワーク設定

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーへの接続方法を設定します。
接続方法は、パブリックアクセス、プライベートアクセス(VNET統合)から選択します。
接続方法により、設定内容が異なります。
パブリックアクセスの場合は、ファイアウォール規則やプライベートエンドポイントの選択肢が表示されます。
プライベートアクセス(VNET統合)の場合は、接続する仮想ネットワークなどの選択肢が表示されます。

ネットワーク設定

接続方法でパブリック アクセスを選択した場合です。
ファイアウォール規則で、接続を許可するIPアドレスを追加します。
プライベートエンドポイントを作成して利用する場合も、パブリック アクセスを選択します。

接続方法でプライベートアクセス(VNET統合)を選択した場合です。
接続する仮想ネットワークとサブネットを選択します。
プライベートDNSゾーンを選択します。
ネットワーク設定でプライベートアクセスを選択した場合の画面例(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

セキュリティ設定

データベースとバックアップに使用されるストレージの暗号化キーを選択します。
サービスマネージドキーとカスタマーマネージドキーから選択します。
カスタマーマネージドキーを使用したデータ暗号化の詳細については、こちらを参照してください。

カスタマーマネージド キー (CMK) を使用した Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーでのデータ暗号化

セキュリティ設定

データ暗号キーを選択します。
サービスマネージドキーを選択した場合、特に設定する項目はありません。
カスタマーマネージドキーを選択した場合は、ユーザー割り当てマネージドIDなどを選択します。

 

セキュリティ設定でストレージのデータ暗号化キーを選択(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)
ストレージのデータ暗号化キーでカスタマーマネージドキーを選択した場合の画面例(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

確認画面

確認画面で設定内容を確認し、Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのリソースを作成します。

確認画面

確認画面です。
内容を確認し、問題がなければ作成を選択します。

サーバー作成の確認画面(Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース作成手順)

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの設定を確認

作成したAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの設定を確認します。

作成したサーバーの設定を確認
リソースの作成が完了すると、一覧に表示されます。
状態が準備完了になっていることも確認できます。
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのリソース一覧表示画面例

コンピューティングとストレージのメニューでは、サーバー構成で設定した内容を確認できます。
Compute tierやコンピューティングサイズを変更できます。
ストレージサイズや、IOPSも変更できます。
但し、ストレージサイズは縮小できないので注意が必要です。

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのコンピューティングとストレージ設定画面例

ネットワークのメニューでは、ネットワークで設定した内容を確認できます。
リソース作成後に、接続方法は変更できません。

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのネットワーク設定画面例

高可用性のメニューでは、ゾーン冗長など高可用性の設定内容を確認できます。
高可用性の有効、無効はリソース作成後でも変更できます。
高可用性を有効にしている場合は、フェイルオーバーもこのメニューから実施できます。

 

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverの高可用性設定画面例
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverで高可用性を有効にしている場合の設定画面例

バックアップと復元のメニューでは、取得しているバックアップを確認できます。
初回バックアップが取得されていることを確認できます。

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのバックアップと復元設定画面例

メンテナンス時間の設定

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーでは、メンテナンス時間を1時間単位で選択できます。

Azure Database for PostgreSQL の予定メンテナンス設定の管理 – フレキシブル サーバー

メンテナンス時間設定
メンテナンスのメニューで設定できます。
デフォルトでは、システム管理されるスケジュールが選択されています。
カスタムスケジュールを選択すると、メンテナンスの曜日と開始時刻を選択できます。
なお、開始時刻はUTCなので注意が必要です。

Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのメンテナンス設定画面例
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのメンテナンス設定でカスタムスケジュールを選択した場合の画面例

PostgreSQLのサーバー パラメーターを変更

Azure PortalやAzure CLIなどを使用して、サーバー パラメーターを変更できます。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのサーバー パラメーター
すべてのサーバー パラメーターを一覧表示する

サーバー パラメーターを変更
サーバー パラメーターメニューでは、サーバー パラメーターを一覧表示できます。
サーバー パラメーターを変更して保存すると、サーバーが再起動されます。
再起動後に、変更内容がサーバー パラメーターに反映されます。
なお、サーバー パラメーターには変更できるものと、変更できないものがあります。
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのサーバーパラメーター設定画面例

データベースを作成

サーバーのメニューから、データベースを追加、削除できます。
Azure CLIなどを利用しても、データベースの追加削除ができます。

データベースを作成
データベースのメニューで追加を選択します。
データベース名を入力して保存すると、新しいデータベースが作成されます。
作成されたデータベースは一覧に表示されます。
ユーザーが作成したデータベースは削除することも可能です。
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのデータベース作成画面例
Azure Database for PostgreSQL Flexible Serverのデータベース一覧表示画面例

—広告—

最後に

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要からリソース作成手順について確認しました。
コンピューティングサイズ、ストレージサイズやIOPSなども簡単に設定変更でき、とても便利だと思いました。
ストレージサイズとIOPSを個別に設定できたりするのは、とても使い勝手が良く便利かと思いました。
メンテナンス時間の設定も可能なのが非常に良いと感じました。

引き続き、いろいろ試してみたいと思います。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのバックアップリストア手順については、こちらで紹介しています。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの読み取り専用レプリカ作成(レプリケーション設定)手順については、こちらで紹介しています。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの概要からリソース作成手順については、こちらで紹介しています。

スポンサーリンク