Azure Database for PostgreSQL フレキシブルサーバーの概要、リソース作成手順

Azure,Database for PostgreSQL

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要から、リソース作成、リソース作成後の基本的な設定までの手順です。
基本的な設定では、メンテナンス時間の設定、データベース作成手順などを紹介しています。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーについては、こちらで紹介しています。

※本記事内では、Azure Database for PostgreSQL Flexible ServerをAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーとして表記しています。

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Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーとは

Azure Database for PostgreSQLとは

Azure Database for PostgreSQL とは

Azure Database for PostgreSQLは、PaaS(Platform as a Service)として提供されるリレーショナルデータベースサービスです。
バックアップやパッチ適用といった運用作業も、プラットフォーム側のサービスとして提供されます。

Azure Database for PostgreSQLには3種類のデプロイモードがある

Azure Database for PostgreSQLには、フレキシブル サーバーと単一サーバーのデプロイモードがあります。
その他に、Azure Cosmos DB for PostgreSQLも存在します。

比較表 – Azure Database for PostgreSQL の単一サーバーとフレキシブル サーバー

基本的には同様の機能が提供されますが、フレキシブル サーバーではストレージサイズが最大64TBまでサポートされます。
ゾーン冗長 HAのサポートやメンテナンス時間の指定(曜日や時間指定(1時間幅))が可能である点なども、単一サーバーとは異なります。
以前は、Microsoft Defender for Cloudがサポートされないなどの制限がありましたが、現在はサポートされるようになっています。

※現在は、単一サーバーではなく、フレキシブル サーバーの利用が推奨されています。
※本記事では、Azure Cosmos DB for PostgreSQLには触れません。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーとは

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーは、データベース管理機能や運用管理機能がセットになったフル マネージド データベース サービスです。
データベースや管理機能、パッチ適用やバックアップなど運用管理機能がサービスとして提供されます。
ゾーン冗長、Geo冗長のバックアップ、レプリケーションと言った高可用性な構成が可能です。

概要 – Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバー

PostgreSQL 11、12、13、および14のコミュニティバージョンがサポートされています。(2023年1月現在)
停止することで課金を止めることができたり、バーストモデル(Bシリーズ)をサポートするなど、コストにも優しくなっています。

イメージ的には、OSに触れることのない仮想マシン(Azure VM)に、PostgreSQL、バックアップ、冗長化、パッチ適用といった運用がセットで構成されているサービスという所になります。

停止することで課金を止めることができる

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーを停止することにより、コンピューティング層の課金を止めることができます。

サーバーを停止/開始して TCO を削減する

Azure Database For PostgreSQL フレキシブル サーバーの起動停止時に利用するコマンドについては、こちらで紹介しています。

※ストレージに対する課金は継続して発生します。
※停止後7日間経過したら、自動的に起動します。

リソース作成後に、サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長は変更できない

リソース作成後に変更できない設定内容があります。
サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長については、変更できません。
HA(高可用性)については、有効化と無効化を行うことができます。

リソース作成時のメッセージ
リソース作成時に注意メッセージが表示されます。

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Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのリソースを作成

公式サイトの手順を参考に、リソースを作成します。

クイック スタート:Azure portal 内で Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーを作成する

各設定項目の詳細については、公式サイトをご参照ください。

作成したリソースの設定値

今回作成したAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの主な設定内容です。

  • 基本設定
区分 項目 設定値
サーバーの詳細 サーバー名 test-postgresql-flexible-server
場所 East US
PostgreSQLバージョン 14
コンピューティング Compute tier 汎用 (2 から 64 個の仮想コア) 
Standard_D2ds_v4
ストレージ ストレージ サイズ 32GiB
高可用性 高可用性 有効
高可用性モード ゾーン冗長
バックアップ バックアップ保有期間 7日間
バックアップ冗長オプション
(Geo 冗長性)
ゾーン冗長(Geo冗長(チェック有))
  • ネットワーク設定
区分 項目 設定値
ネットワーク接続 接続方法 パブリック アクセス (許可されている IP アドレス)
ファイアウォール規則 ファイアウォール規則名 クライアントのIPを許可設定
  • セキュリティ設定
区分 項目 設定値
データ暗号化 ユーザー割り当てマネージド ID 未設定(Geo冗長の場合は設定できません)

リソースの作成時の画面

リソース作成は、5つのタブから構成されます。

    • 作成タブ
      • 基本:リソースサイズ、可用性、アカウント、バックアップなどのサーバー設定
      • ネットワーク:ネットワークアクセス設定
      • セキュリティ:カスタムマネージドキーを使ったデータの暗号化設定
      • タグ:リソースに付与するタグの設定
      • 確認および作成:作成前の確認画面
作成画面
Azure Portalの検索欄でPostgreSQLと入力します。
Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーを選択します。
作成を選択します。
Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの作成画面が表示されます。

基本設定、サーバーの構成設定(リソース作成手順)

サーバー名、リソースサイズ、可用性設定など、Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバー自体の設定を行います。

    • 基本設定:サーバー名やPostgreSQLバージョンと言ったPostgreSQL自体の設定
    • サーバーの構成設定:リソースサイズ、高可用性などのリソース自体の設定
基本設定、サーバーの構成設定

サーバーの詳細設定画面です。
サーバー名を入力し、リージョンを選択します。
PostgreSQLバージョンは11から14の間から選択します。(2023年1月現在)

サーバの構成を選択します。

サーバーの構成設定画面が表示されます。
コンピューティングでは、コンピューティングサイズやストレージサイズなどを設定します。
プロセッサはAMDかIntelを選択できます。
プロセッサにより、コンピューティングサイズに表示されるモデルが変わります(今回はIntelを選択)。
コンピューティングサイズが大きくなるほど、最大IOPSも変わります。IOPSはストレージサイズに応じて変わります。

高可用性およびバックアップ設定の構成です。
高可用性を有効にすると、高可用性モードの設定が表示されます。
同じゾーンでの冗長とゾーン冗長から選択します。
Geoバックアップを有効にする場合は、Geo冗長性にチェックを入れます。
認証方法を選択します。
ユーザー名とパスワードによる認証、Entra IDでの認証から選択します。

ネットワーク設定(リソース作成手順)

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーへのアクセス制限を設定します。
アクセス制限は、接続方法、ファイアウォール規則、仮想ネットワークなどを組み合わせて設定します。

ネットワーク設定

例は、接続方法でパブリックを選択した場合です。
ファイアウォール規則で、接続を許可するIPアドレスを追加します。

現在のクライアントIPアドレスを追加した場合、ClientIPAddressという名前の許可設定が追加されます。

接続方法でプライベートアクセス(VNET統合)を選択した場合、統合する仮想ネットワークとサブネットを指定します。
プライベートDNSゾーンも統合されます。

セキュリティ設定(リソース作成手順)

カスタムマネージドキーを使用したデータ暗号化設定が可能です。
カスタムマネージドキーを使用したデータ暗号化の詳細については、こちらを参照してください。

カスタマーマネージド キー (CMK) を使用した Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーでのデータ暗号化

セキュリティ設定

データ暗号キーを設定します。

※geo冗長バックアップの場合は、データ暗号化キーでカスタムマネージドキーを選択できません。

リソースを作成

確認画面で設定内容を確認し、リソースを作成します。

確認画面

確認画面で設定内容を確認します。
作成を選択します。

※高可用性を有効にした場合は、課金額が2倍になります。

作成したリソースの設定を確認

作成したAzure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのリソースを確認します。

作成したリソースの設定を確認
リソースの作成が完了すると、一覧に表示されます。
状態が利用可能になっていることも確認できます。

コンピューティングとストレージのメニューで、サーバーの構成で設定した内容を確認できます。

ネットワークのメニューで、ネットワークで設定した内容を確認できます。
リソース作成後に、接続方法は変更できません。

高可用性のメニューで、サーバーの構成の高可用性で設定した内容を確認できます。
高可用性の有効、無効はリソース作成後でも変更できます。

バックアップと復元のメニューを表示します。
初回バックアップが取得されていることを確認できます。

※ストレージサイズの拡張はできますが、縮小はできません。

リソースの課金額(見積)を確認

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのリソースの課金額(見積)も確認できます。

Azure Database for PostgreSQL の価格

リソースの課金額
コンピューティング、ストレージ、高可用性(冗長)に課金が発生していることが分かります。
高可用性を有効にすると、リソースの課金額が倍になります。

メンテナンス時間の設定

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーでは、メンテナンス時間を1時間単位で選択できます。
時間設定はUTCです。

Azure Database for PostgreSQL の予定メンテナンス設定の管理 – フレキシブル サーバー

メンテナンス時間設定
メンテナンスのメニューで設定できます。
カスタムスケジュールを選択すると、曜日と開始時刻を選択できます。

サーバーパラメーターを変更

Azure PortalやAzure CLIなどを使用して、サーバーパラメーターを変更できます。

Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーのサーバー パラメーター
Azure portal を使用して Azure Database for PostgreSQL – フレキシブル サーバーでサーバー パラメーターを構成する

サーバーパラメーターを変更
サーバーパラメーターのメニューで、サーバーパラメーターを一覧表示できます。
サーバーパラメーターを変更して保存すると、サーバーが再起動されます。
再起動後にサーバーパラメーターが反映されます。

Azure Portalからデータベースを作成

Azure Portalからデータベースを追加、削除できます。

データベースを作成
データベースのメニューで追加を選択します。
データベース名を入力して保存すると、データベースが作成されます。
作成されたデータベースは一覧に表示されます。
ユーザーが作成したデータベースは削除することもできます。

※データベースの追加は、Azure CLIなどのコマンドを利用してもできます。

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最後に

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要からリソース作成、基本的な設定までの手順を簡単にまとめてみました。
コンピューティングサイズの選択、ストレージサイズ、ゾーン冗長なども簡単に設定でき、とても便利だと思いました。
メンテナンス時間の設定も可能なのが非常に良いと感じました。

引き続き、いろいろ試してみたいと思います。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーのバックアップリストア手順については、こちらで紹介しています。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの読み取り専用レプリカ作成(レプリケーション設定)手順については、こちらで紹介しています。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの概要からリソース作成手順については、こちらで紹介しています。

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