Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの概要、リソース作成手順

2020-11-06Azure,Database For MySQL

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの概要から、リソース作成、リソース作成後の基本的な設定までの手順です。
基本的な設定では、メンテナンス時間の設定、データベース作成手順などを紹介しています。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーについては、こちらで紹介しています。

※本記事内では、Azure Database for MySQL Flexible ServerをAzureDatabase for MySQL フレキシブル サーバーとして表記しています。

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Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーとは

Azure Database for MySQLとは

Azure Database for MySQL とは

Azure Database for MySQLは、PaaS(Platform as a Service)として提供されるリレーショナルデータベースサービスです。
MySQL Community Edition をベースとしています。
バックアップやパッチ適用といった運用作業も、プラットフォーム側のサービスとして提供されます。

※変更できないサーバーパラメータがあるなど、機能制限される部分があります。

Azure Database for MySQLの単一サーバーは廃止されています

Azure Database for MySQLでは、昔は単一サーバー、フレキシブル サーバーの2種類がありました。
現在は、フレキシブル サーバーのみが存在しています。

Azure Database for MySQL – シングル サーバーの現状

※単一サーバーは2024年9月16日に廃止されています。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーとは

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーは、データベース管理機能や運用管理機能がセットになったフルマネージドデータベースサービスです。
MySQL Community Edition をベースとしたデータベースや管理機能、パッチ適用、バックアップなどの運用管理機能がサービスとして提供されます。
ゾーン冗長、Geo冗長のバックアップ、レプリケーションといった高可用性な構成も可能です。

Azure Database for MySQL – フレキシブル サーバーとは

イメージ的には、OSに触れることのない仮想マシン(Azure VM)に、MySQL、バックアップ、冗長化、パッチ適用といった運用がセットで構成されているサービスという所になります。

コンピューティングとストレージに対して課金が発生する

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの課金は、コンピューティングに対する課金、ストレージに対する課金が発生します。
バックアップストレージに対する課金も発生します。

Azure Database for MySQL の価格

ストレージについては、IOPSに対して課金が発生します。
自動スケールによるIOPSと、事前プロビジョニング済みに追加したIOPSに対して発生する課金があります。
また、高可用性を有効にすると、課金は2倍となります。

停止することで課金を止めることができる

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーを停止することにより、コンピューティング層の課金を止めることができます。
ストレージに対する課金は、継続して発生するので、完全に課金が止まる訳ではありません。

オンデマンド サーバーの停止/開始

Runbookを利用してAzure Database for MySQL フレキシブル サーバーの起動停止をスケジュール化する方法については、こちらで紹介しています。

※停止後30日間経過したら、自動的に起動します。

リソース作成後に、サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長は変更できない

リソース作成後に変更できない設定内容があります。
サーバー名、ネットワーク接続方法、バックアップ冗長については、変更できません。
HA(高可用性)については、有効化と無効化を行うことができます。

リソース作成時のメッセージ
リソース作成時に注意メッセージが表示されます。 Azure Database for MySQL Flexible Serverでサーバー作成後に変更できない項目

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Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの作成手順

公式サイトの手順を参考に、リソースを作成します。

クイック スタート:Azure portal を使用して Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーを作成する

各設定項目の詳細については、公式サイトをご参照ください。

作成したリソースの設定値

今回作成したAzure Database for MySQL フレキシブル サーバーの主な設定内容です。

  • 基本設定
区分 項目 設定値
サーバーの詳細 サーバー名 mysql-zabbix-01
MySQLバージョン 8.0
コンピューティング Compute tier  バースト可能
B1ms(1 個の仮想コア、2 GiB RAM)
ストレージ ストレージ サイズ 20GiB
IOPS 360 IOPS
(事前プロビジョニング済みの IOPS)
ストレージの自動拡張 チェック無し
高可用性 高可用性 無効
高可用性モード 無し
バックアップ バックアップ保有期間 7日間
バックアップ冗長オプション
(Geo 冗長性)
チェック無し(ローカル冗長)
  • ネットワーク設定
区分 項目 設定値
ネットワーク接続 接続方法 プライベート アクセス (VNET 統合)
仮想ネットワーク 仮想ネットワーク クライアントのIPを許可設定
サブネット  
プライベート DNS 統合 プライベート DNS ゾーン mysql-zabbix-01.mysql.database.azure.com
  • セキュリティ設定
区分 項目 設定値
データ暗号化 ユーザー割り当てマネージド ID 未設定

※タグについては未付与としています。

リソースの作成時の画面

リソース作成は、5つのタブから構成されます。

    • 作成タブ
      • 基本:リソースサイズ、可用性、アカウント、バックアップなどのサーバー設定
      • ネットワーク:ネットワークアクセス設定
      • セキュリティ:カスタムマネージドキーを使ったデータの暗号化設定
      • タグ:リソースに付与するタグの設定
      • 確認および作成:作成前の確認画面

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーのリソース作成を開始

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーのリソース作成を開始します。
簡易作成、高度な作成の2種類あります。
今回は、高度な作成の手順を確認しています。

リソース作成を開始
Azure Portalの検索欄でMySQLと入力します。
Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーで作成を選択します。
リソースの作成を開始(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
MySQL デプロイオプションの画面が表示されます。
フレキシブルサーバーに関しては簡易作成と、高度な作成から選択します。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの作成画面が表示されます。

リソースの作成方法や使用用途を選択(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーで、簡易作成を選択した場合です。
設定すべき内容が省力化されています。
ネットワークの設定なども自動的に設定されます。
簡易作成時の設定画面(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
簡易作成時の設定画面(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

基本設定、サーバーの構成設定

サーバー名、リソースサイズ、可用性設定などAzure Database for MySQL フレキシブル サーバー自体の設定を行います。

    • 基本設定:サーバー名やMySQLバージョンと言ったMySQL自体の設定
    • サーバーの構成設定:リソースサイズ、高可用性などのリソース自体の設定
基本設定、サーバーの構成設定
サーバーの詳細設定画面です。
サーバー名を入力し、リージョンを選択します。
MySQLバージョンを選択します。
基本タブでサーバーの詳細を設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
選択可能なMySQLのバージョン(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
コンピューティングとストレージを設定します。
サーバーの構成を選択します。
サーバーの構成を設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
コンピューティングとストレージの設定画面が表示されます。
コンピューティングでは、SKUやサイズを選択します。
SKUによりますが、プロセッサの種類をIntelもしくはAMDから選択できます。
コンピューティングサイズやSKUを選択(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
プロセッサとコンピューティングサイズを選択(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
ストレージでは、ストレージのサイズ、IOPS、ストレージの自動拡張を設定します。
IOPSは自動スケールIOPSか、事前プロビジョニング済みのIOPSから選択します。
事前プロビジョニング済みのIOPSの場合は、デプロイするストレージのIOPSを設定します。
ストレージのサイズとIOPSを選択(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
事前プロビジョニング済みのIOPSの設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
バックアップアップ設定です。
バックアップの保有期間、バックアップの冗長性を選択します。
バックアップの設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
コンピューティングとストレージの設定画面が表示されます。
設定完了後、保存します。
コンピューティングとストレージの設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

認証の設定では、認証方法や管理者アカウントのログインユーザー名や、パスワードを指定します。
認証方法には、Microsoft Entra認証も利用できます。

※ゾーン冗長など、高可用性を有効にする場合は、高可用性を有効にするにチェックを入れます。

認証の設定(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

ネットワーク設定

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーへのアクセス制限を設定します。
アクセス制限は、接続方法、ファイアウォール規則、仮想ネットワークなどを組み合わせて設定します。

ネットワーク設定

ネットワークの設定です。
パブリックアクセスを許可するかを選択します。
パブリックアクセスを許可する場合は、ファイアウォール規則に接続を許可するIPアドレスを追加します。
現在のクライアントIPアドレスを追加すると、ClientIPAddressという名前の許可設定が作成されます。

ネットワークの設定(接続方法がパブリックアクセスの場合)(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
接続方法でプライベートアクセス(VNET統合)を選択した場合、統合する仮想ネットワークとサブネットを指定します。また、統合するプライベートDNSゾーンを選択します。 ネットワークの設定(接続方法がプライベートアクセス(VNET統合)の場合)(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)
ネットワーク設定でのプライベートDNS統合(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

セキュリティ設定

カスタムマネージドキーを使用したデータ暗号化設定が可能です。
カスタムマネージドキーを使用したデータ暗号化の詳細については、こちらを参照してください。

カスタマー マネージド キー データ暗号化 – Azure Database for MySQL – フレキシブル サーバー

セキュリティ設定

ユーザー割り当てマネージド ID の設定や、利用する暗号化キーを選択します。

セキュリティの設定(接続方法がパブリックアクセスの場合)(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

※今回は、設定変更せずそのまま進めています。

リソースの作成確認画面

確認画面で設定内容を確認し、リソースを作成します。

確認画面
確認画面です。
内容を確認し、問題がなければ作成を選択します。
リソース作成の確認画面(Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース作成手順)

作成したリソースの設定を確認

作成したAzure Database for MySQL フレキシブル サーバーの設定を確認します。

作成したリソースの設定を確認
リソースの作成が完了すると、一覧に表示されます。
状態が利用可能になっていることも確認できます。
Azure Database for MySQL Flexible Serverのリソース一覧

コンピューティングとストレージのメニューでは、サーバー構成で設定した内容を確認できます。
ストレージサイズは拡張可能ですが、縮小はできません。
IOPSは増やしたり、減らしたり変更ができます。

Azure Database for MySQL Flexible Serverのコンピューティングとストレージの設定画面

ネットワークのメニューでは、設定したネットワークの内容を確認できます。
接続方法は、リソース作成後に変更することができません。

Azure Database for MySQL Flexible Serverのネットワーク設定画面

高可用性のメニューでは、サーバー構成で設定した高可用性の内容を確認できます。
高可用性の有効・無効は、リソース作成後でも変更可能です。高可用性の設定を変更すると、再デプロイが実行されます。

Azure Database for MySQL Flexible Serverの高可用性の設定画面

※画面例はStandard SKUの場合です。バースト可能なSKUではサポートされていません。また、記憶域の自動拡張が無効になっている場合も、高可用性を有効にすることができません。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーのバックアップリストア手順については、こちらで紹介しています。

メンテナンス時間の設定

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーでは、メンテナンス時間を1時間単位で選択できます。

Azure Database for MySQL での予定メンテナンス – フレキシブル サーバー

メンテナンス時間設定
メンテナンスのメニューから設定できます。
カスタムスケジュールを選択すると、曜日と開始時刻を指定できます。
1時間単位での指定となります。
時間設定はUTCなので、注意が必要です。
Azure Database for MySQL Flexible Serverのメンテナンススケジュール設定画面
なお、メンテナンススケジュールの設定は、バースト可能なSKUではサポートされていません。 Azure Database for MySQL Flexible Serverのバースト可能なSKUの場合はメンテナンススケジュールが選択できません

サーバーパラメータを変更

Azure PortalやAzure CLIなどを使用して、サーバーパラメーターを変更できます。

Azure portal を使用して Azure Database for MySQL – フレキシブル サーバーのサーバー パラメータを構成する

サーバーパラメータの変更
サーバーパラメーターのメニューでは、サーバーパラメーターの一覧を表示できます。
サーバーパラメーターには、変更可能なものと変更できないものがあります。
サーバーパラメーターを変更して保存すると、サーバーが再起動されます。
再起動後に、変更内容がサーバーパラメーターに反映されます。
Azure Database for MySQL Flexible Serverのサーバーパラメーターの設定画面
Azure Database for MySQL Flexible Serverのサーバーパラメーターの設定画面(読み取り専用の場合)

Azure Portalからデータベースを作成

Azure Portalからデータベースを追加、削除できます。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーでデータベースを作成して管理する

データベースを作成

データベースのメニューから追加を選択します。
データベース名を入力し、文字セットと照合順序を選択します。
保存すると、データベースが作成されます。
作成されたデータベースは一覧に表示されます。

また、ユーザーが作成したデータベースは削除することも可能です。

Azure Database for MySQL Flexible Serverのデータベース作成画面
Azure Database for MySQL Flexible Serverのデータベース一覧を表示

※データベースの追加は、Azure CLIなどのコマンドを使用して行うことも可能です。

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最後に

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーの概要からリソース作成、基本的な設定までの手順を簡単にまとめてみました。
コンピューティングサイズの選択、ストレージサイズ、ゾーン冗長なども簡単に設定でき、とても便利だと思いました。
ストレージサイズとIOPSを個別に設定できたりするのが使い勝手が良いと思いました。
メンテナンス時間の設定も可能なのが非常に良いと感じました。

引き続き、いろいろ試してみたいと思います。

Azure Database for MySQL フレキシブル サーバーのバックアップ、リストア手順については、こちらで紹介しています。

Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーの概要やリソース作成手順については、こちらで紹介しています。

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